旅館の窓際にある、人気の【あのスペース】の正式名称は「広縁(ひろえん)」です。
実は、広縁は「あのスペース」「例のスペース」「謎空間」と呼ばれています。
SNSのハッシュタグ検索をすると投稿写真が多数見つけられるほど、根強い人気を持つスペースです。
人気の理由は「なんとなく落ち着く」「旅館に来た!という気分になる」といった、特別な空間としての認識が多くを占めます。
ですが元々は、実用的な理由で誕生しました。
スポンサーリンク旅館の「あのスペース」は実用的な意味を持って誕生
昔の日本家屋は、廊下が外にありました。
忠臣蔵の「松の大廊下」を思い出してください。
廊下が中庭に面しています。
廊下が外にあった理由は、照明が発達していなかったからです。
廊下を屋内に作ってしまうと真っ暗で歩けないため、廊下は外に造られていました。
つまり日本家屋様式で建築された旅館の廊下も、外にあったのです。
照明の発達で内廊下→広縁の誕生
時代が流れ照明が発達すると、廊下を建物の中に造ることができるようになりました。
そして、外廊下で結ばれていた各部屋は内廊下で結ばれるようになったのです。
不要になった外廊下は壁で区切られ、部屋の一部として取り込まれました。
その結果、部屋というには小さく、廊下というには短い【あの謎スペース】こと広縁が誕生したのです。
現代の「広縁」の役割
歴史的な背景で誕生した広縁ですが、現在も主に4つの実用的な役割を持っています。
- 外の日差しを遮ることで畳や障子、家具などが傷むのを軽減する。
- 奥行きを出して、部屋をより広く開放感を演出する。
- 居室との間に空間ができるため、二重ガラスのように断熱性や保温性が高まる。
- 地べたに座り慣れない外国人客のために椅子のある空間を提供する。
まとめ:旅館の【あのスペース】について
- 旅館の【あのスペース】の正式名称は「広縁(ひろえん)」
- 【あのスペース】【例のスペース】【謎空間】と呼ばれ、根強い人気を持つ
- 広縁は元々、外廊下の一部だった
- 照明が発達すると廊下は建物の内側に作られ、外廊下は部屋の一部として九州された
- 広縁は現代はまた別の実用的な役割を持っている
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